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燃料電池とは?

「水素」と「酸素」を化学反応させて発電する『燃料電池』

「水素」と「酸素」を化学反応させて、直接「電気」を発電する装置です。「電池」という名前はついていますが、蓄電池のように充電した電気を溜めておくものではありません。燃料電池の燃料となる「水素」は、エネファームでは天然等を水蒸気改質して作り、「酸素」は大気中から取り入れています。一方FCVのMIRAIでは、70MPaに圧縮された「純水素」を車に搭載して燃料としています。今後は、2050年のカーボンニュートラルに向けて、電源等の調整力としての水素・燃料電池に期待が寄せられています。

「燃料電池」は夢のエネルギーです。

燃料電池は、大型のものは発電施設として、中規模のものは地域コミュニティやオフィスビルなどに、小規模なものは家庭などに備えつけられて、電気と熱を供給できます。さらに小型のものは、自動車や船舶などの駆動源に使えます。さまざまな場所で燃料電池が活躍できるよう、さらなる技術開発と普及に向けた標準化などが進められています。

広がる燃料電池の世界

 
1.省エネルギー・環境負荷の低減
水素と酸素の電気化学的反応によって直接発電を行う燃料電池には、高い発電効率が得られます、また環境有害物質の放出もほとんどないという特徴があります。 発電に伴って発生する熱を効率よく有効利用するコージェネレーションができます。これによって省エネルギー、二酸化炭素の削減、有害物質の放出抑制に大きな効果をもたらします。

2.さまざまな利用分野
エネファーム等の住宅用だけでなく、オフィスビル、病院等での中型規模のコジェネレーション、さらには乗用車(FCV)用のみならず、大型・商用モビリティ(HDV)向けや、鉄道用・船舶用とさまざまな利用分野が広がっています。

3.多様な水素源
燃料電池に供給する水素は、都市ガスやLPG、灯油などの化石燃料だけでなく、生ゴミや廃木材、下水処理場の汚泥やビール工場の排水の処理などによるバイオガスなど非化石の燃料源からも幅広く取り出すことができ、燃料の多様化や未利用エネルギーの活用、廃棄物からの環境放出ガスの低減にも寄与します。
今後は再生可能エネルギーから製造したグリーン水素を燃料電池の燃料として利用することが期待されています。

4.進む開発・実用化
燃料電池の歴史は非常に古く、グローブ卿が燃料電池の発電実験に成功したのは、1839年までさかのぼります。1839年といえば天保10年です。高杉晋作が生まれたあたりです。平賀源内のエレキテルが発明されてしばらくたったころのお話となります。その後いろいろな形式の燃料電池が開発されて行き、進化を遂げてきています。しかしながら、経済性の観点から熱機関による発電が世の中では主流となり、1960年代には燃料電池は主に宇宙利用等のニッチな用途での進化が進んで行きます。
1987年に画期的なプロトン導電性を示すDOW膜の開発によりカナダのベンチャー バラード社が高い性能を実現し世界に大きなインパクトを与えました。これを契機に熱機関では高効率化が困難であった比較的コンパクトな定置用や移動体等の様々な用途への展開が示唆されるようになり、世界的にPEFC開発が本格化して行くことになっていきました。
その後、国内でもミレニアムプロジェクトや大規模実証など多くの国家プロジェクトが進められ、2009年にはエネファームが世界で初めて実用化され、2014年にはトヨタMIRAIが発売されました。現在は、来るべき水素社会に向けて、純水素型燃料電池や大型・商用モビリティ(HDV)向け燃料電池として開発が進められています。